『天まで届け』 No.2 中島 稔

 

私の‐わたしの‐さらに奥のワタシ‐

の奥のわたくしに、超微細小(ミクロ)宇宙がある。

〈イノチ〉の働きが、絶えることなく、

生まれては、滅んで、滅んでは瞬く間に、

生まれて絶え間なく……際限なく、無限小な、

生命エネルギーが、躍動・消滅を繰り返し〈共動〉してる。

地球科学者の〈素粒子〉理論は、ようやくに、

その超ミクロ世界の、入り口辺を検索中らし。

『天まで届け』 No.1 中島 稔

 

「小さく 小さく 小さくなーれ

小さくなって 蟻さんになーれ〈*〉」

 

「もっと もっとー 小さくなーれ

小さくなって〈点!〉さんになーれ」

と替え歌してみて、「こわい!」

の畏怖感(いふかん)を覚え、点となってその場に蹲(うずくま)り、

しばらく動けなくなった、ことがありませんか。

わたくしの中にあって、わたしで無いような、

ごくごく小さな世界、ミクロな宇宙(せかい)、

肉眼で視えなくとも、顕微鏡や、電子顕微鏡、

できたなら、中性子顕微鏡で観察する世界、

生存と消滅が同時に起きている、超ミクロ‐

〈素粒子宇宙(せかい)〉、もうこれ以上何も無いような世界、

消失した瞬間に、同時に素粒子(クオーク)が現象してる宇宙(せかい)!

絶え間無く、有(1)と無(0)が、

プラスとマイナスが、同時に存在して持続している、

陽と陰が、善と悪が……瞬時に共存してる、

共動しているる、無限小の宇宙………

 

『日の本の四季‐変異』No.6

 

ホー ホケキョ

ホー ホケキョ

来年の梅雨が、めぐって来る日まで、

〈こころ〉の震災復興が、

いまだ終わっていない南東北の、

何処ぞかの町の杜もりに、

ひさしく、旅に出掛けるらし。

「ホー ホケキョ!」

 

『日の本の四季‐変異』No.5

 

今では娘‐ウグイスと、コラボレーション。

「眼に見えぬ力で、日の本の自然を壊して、

異常気象に変えたのは、だーれっ!」

ホー ホケケキョ

ホー ホケケキョ

ホー ホケケキョ

檜扇(ひおうぎ)の実の色のよう、数珠ずず黒いカラスが、

夏訪(おとず)れの大気に、連呼〜連弾している日に、

昨年より短時日に、一人前になったウグイスが、

『日の本の四季‐変異』No.4

 

ホー ホケケキョ

ホー ホケケキョ

近くに居た、親ウグイスが時々、

ホー ホケキョ!

ベテランのウグイス嬢の、熟練した声音で、

ウグイス族‐伝統の詩文を一度、読誦した。

自然がバランスを、崩している時節(とき)でも、

親‐ウグイスは、イライラせずに、

ホー ホケキョ!

『日の本の四季‐変異』No.3

 

ホー ケキョ

ホー ケキョ

子のウグイスが、初音(はつね)したでしょう。

ホー ケキョ

ホー ケキョ

彼方、上州‐赤城山の麓の街では、

突然、四〇度越えした真夏が、

梅雨を引き裂くようにやってきて、

三日間、日本列島に滞在し、

瞬く間に梅雨に、戻った日から、

少しく上達した、娘‐ウグイス、

『日の本の四季‐変異』No.2

 

ホー ケキョキョ

ホー ケキョキョ

新米ウグイスが、ウグイスの詩(うた)、

日がな一日、練習を積み重ねてる。

ホー ケキョキョ

ホー ケキョキョ

毎年〜毎年、異常気象つづきで、

日の本の四季はいつから、

狂い始めて、箍(たが)ずれしてきたか?

今年もあいまいで、不決断な、

梅雨がやって来た、その日に、

『日の本の四季‐変異』 No.1

 

東北‐奥羽は、杜(もり)の都の傍らの、

〈百年の杜〉で、朝方から霧雨が、

樹木の香りに、無音(むいん)に霞んでいた。

杉木立と竹林が、百年に渡って、

静かに、地の縄張り争いを続けてきたかに。

竹林が杉林を三分の一近く、

凌駕(りょうが)しかかった時節(とき)に、

竹は伐採されて、翌年からタケノコが、

地表に芽生えるのを辞めていた。

『秘密の扉』(仮題)No.3

 

「ほんとうにこの宇宙が〈無〉から始まったのなら、

それに始まりも終わりもない。不条理(Absurdity)」

ある日突然CDが、録音テープやレコード音盤(ディスク)に、

取って代わってしまった時、強烈なショックを、

憶えたことは無かったか。

精緻な機械音への、違和感!

「CDの機械(デジタル)曲は聴きたくない、二度と」

お腹の奥から不快感が走り、しばらく、

クラシック音楽を聴くことを止めていた……

世界中に瞬(またたく)間に、デジタル曲が溢あふれ出したので、

それに感染するに、暇(いとま)はいらなかった。

キューバ音楽や、中南米・南米のCD楽曲、

スマホ音楽がぐるりに、満ち溢(あふ)れていなかったか。