『通りゃんせ 通りやんせ』 No.4

 

わらべ遊びは、みんな皆、

われ先に鬼となりたい、鬼あそび、

鬼となって、アーチの鳥居を作り、

神童(カミ)となる……鬼さん、こちら、

手の鳴る方に、鳥居・アーチの向こうには、

菅原(すがわら)天満宮の、天満天神の居られる神社(かみやしろ)。

東風(こち)〜吹かば、匂い立つ、梅が香(か)の寂滅(じゃくめつ)のなか、

変わらぬこの世の喧騒(けんそう)〜権力・支配の争い続く世に、

無心‐瞠目(どうもく)し、鎮座して居らるるか天満天神。

 

✻「お札を納めに まいります

行きはよいよい 帰りはこわい」

『通りゃんせ 通りやんせ』 No.3

 

天神さまのわらべ歌を、声高らかに、

歌いながら……最後のフレーズ、

「通りゃんせ 通りゃんせ」になったなら、

ゆっくりアーチが降りてきて、

曲の終わりに、その下にいた童と、

後ろの子供のふたりが、得意げな、

鬼(オニ)さんになーる……夕焼け・小焼け。

 

✻「御用のないもの通しゃせぬ

この子の七つのお祝いに」

『通りゃんせ 通りやんせ』 No.2

 

わらべ歌、あそび歌、忘れ去られた、

童(わらわ)遊びの「通りゃんせ」〜する者、

寄っといで、この指とぉーまれ、

じゃんけんポンよ、あいこでしょ、

負けたら鬼よ……二人で鬼さん、

少しく離れて向き合った、鬼さん同志が、

両手を組み合わせて、時に高く、

背伸びして、アーチを作る。

その下を、たてに並んだわらべ達、

順々に少しく、前こごみなどして、

アーチの下をくぐり抜けて行く。

✻「天神さまの 細道じゃ

ちっと通して下くだしゃんせ」

『通りゃんせ 通りやんせ』 No.1

『通りゃんせ 通りやんせ』

——天満神(てんまんしん)のお通りじゃ

中島 稔

 

「童」‐わらべ・ワラワは、里に立つと書く、

「里」には田があり土があり、古里があり、

おかっぱ頭の、鼻垂れ小僧が遊んでた。

童(妾/ワラワ)は辛く苦しい女〜「奴隷」を意味してる。

目の上に刺青(いれずみ)され、重い袋を背負わされた奴婢(ぬひ)は、

愚かな童(こども)に似ているる……PCゲームでは、

女王・王女や、身分の高い女性が「わらわ」かな。

 

✻「通りゃんせ 通りゃんせ
ここはどこの 細通じゃ」

詩『いま いま いま』  No.2

 

いまいま いまを

かこと みらいが

こうみょうに

げんわくして

かどわかし するる

のろい じゅばくを

ときはなつ ために

 

いま いま いま

いまもおきた

いまとおきた

いまにおきた

いまをおきた

いまがおきた

いま おきた

詩『いま いま いま』  No.1

 

いま おきた

いまがおきた

いまをおきた

いまにおきた

いま おきた

いまとおきた

いまもおきた

 

いま おきた

いま いま いま

お き た い ま

ゆこう いまの

しゅん かんに

いつでもいま に

いま おきた

『五感 機械幻想』 No.3

 

☆「嗅覚(Smell)〕を閉じる」無嗅覚(きゅうかく)にて 

シルックな雪が沈黙して、降り継いでいる。

鼻腔を両指で押さえて、嗅覚を閉じる……

今日美きょうびの雪は、無機質な〈無〉の匂いのする。

世間の喧騒けんそうを、ひと知れず飲みこんで、

重ね着してゆく雪……いつになく、強く家が軋きしんでいる。

山里の庭のまわるい満天星(どうだん)や、蒲鉾(かまぼこ)型のつつじの生垣、

神流川(かんながわ)が色々に造形した、青緑色の縞模様の庭石、

三波石(さんばせき)たちも、不条理な雪の抱擁を受けている。

両手の平に盛った雪の綿菓子に、閉じた鼻腔を、

圧し当ててできた鼻型の空間には、戦後グローバルに、

高度に飛躍‐発展を遂げた科学文明が、

造形した機械都市の、無機物の砂漠(すな)の臭いのする。

『五感 機械幻想』No.3

 

☆「聴覚(Hearing)を閉じる」 その耳腔(じこう)で〜

現代科学文明がその技術を巧みに、駆使して生み出している、

機械‐幻想世界、この世の在りて有る喧騒(けんそう)を、シンシンとしんしんと、

降り積もる雪が吸収して、無音世界かのよう。

両耳腔(じこう)を指で押さえて、幽体の耳‐内聴覚(うちちょうかく)で聴く、

遥か彼方〜宇宙の星々で、奏でている楽曲……

宇宙協奏曲(コンチェルト)や、銀河(ミルキーウエイ)に共振して流れる夜想曲、

星〜星を回り渡る、宇宙風の奏している、

透明な水琴窟(すいきんくつ)のような、楽曲も聴こえてくるか。

今年の寒さは「寒さ」の文字も、氷結させる力あり。

いまだ一度も聴いたことのない、天使の囁きスターダストの、

ミニ氷雪と光で奏でる、無音の弦楽曲、

肉身の聴覚を閉じて聴く……

地球〜至る所〜隈なく、侵食してしまった、

電磁波のミクロ音波‐公害を、備長炭(びんちょうたん)‐炭素と、

岩塩液とのコラボの〈地の働き〉で浄化するる。

『五感 機械幻想』No.2

 

☆「視覚(Eyesight))を閉じる」 その目線を〜

左奥〜右奥に、後ろ奥〜前奥に、

上奥〜下奥に、順に内目線(うちめせん)を巡らして行き、

その焦点は、はるか遠くの星に置く。

ゆっくりと内目線を、彼方‐下方から、

反時計回りに繞(めぐら)してゆく……そうして、

遥か星を意識しながら,やはり内目線で、

時計回りにゆるやかに、移行してゆく。

肉体を内側から覆う、第二の身体〈幽(アストラル)体〉は、

スポーツマンが想念(イメージ)‐訓練トレーニングで鍛錬する〈想念(アストラル)体〉、

思念するその眼(まなこ)で、想念の世界《幽界》を内観する。