如此(かく)宣(のら)ば 天津神(あまつかみ)は天(あめ)の磐門(いはと)を押開(おしひら)きて 天(あめ)の八重雲(やへぐも)を伊豆(いづ)の千別(ちわき)に千別(ちわき)て所聞食(きこしめさ)む 国津神(くにつかみ)は高山(たかやま)の末(すゑ)短山(ひきやま)の末(すゑ)に登坐(のぼりまし)して 高山(たかやま)の伊穂理(いほり)短山(ひきやま)の伊穂理(いほり)を撥別(かきわけ)て所聞食(きこしめさ)む 如此(かく)所聞食(きこしめし)ては 罪(つみ)と云(いふ)罪(つみ)は不在(あらじ)と 科戸(しなど)の風(かぜ)の天(あめ)の八重雲(やへぐも)を吹放(ふきはなつ)つ事(こと)の如(ごと)く 朝(あした)の御霧(みきり)夕(ゆふべ)の御霧(みきり)を朝風(あさかぜ)夕風(ゆふかぜ)の吹掃事(ふきはなつこと)の如(ごと)く 大津辺(おほつべ)に居(を)る大船(おほふね)を舳(へ)解放(ときはなち)艫(とも)解放(ときはなち)て大海原(おほわだのはら)に押放(おしはなつ)事(こと)の如(ごと)く 彼方(をちかた)の繁木(しげき)が本(もと)を焼鎌(やきがま)の敏鎌(とがま)以(も)て打掃(うちはらふ)事(こと)の如(ごと)く 遺(のこ)る罪(つみ)は不在(あらじ)と 祓賜(はらひたま)ひ清賜(きよめたまふ)事(こと)を 高山(たかやま)之(の)末(すゑ)短山(ひきやま)之(の)末(すゑ)より 佐久那太理(さくなだり)に落(おち)瀧(たき)つ速川(はやかわ)の瀬(せ)に坐(ま)す瀬織津比咩(せおりつひめ)と云(いふ)神(かみ)大海原(おほわだのはら)に持出(もちいで)なむ 如此(かく)持出(もちいで)往(いな)ば 荒塩(あらしほ)の塩(しほ)の八百道(やほぢ)の八塩道(やしほぢ)の塩(しほ)の八百会(やほあひ)に坐(ま)す速開都比咩(はやあきつひめ)と云(いふ)神(かみ) 持可可呑(もちかゝのみ)てむ 如此(かく)可可呑(かゝのみ)てば 気吹戸(いぶきど)に坐(ま)す気吹戸主(いぶきどぬし)と云(いふ)神(かみ) 根国(ねのくに)底国(そこのくに)に気吹放(いぶきはなち)てむ 如此(かく)気吹放(いぶきはなち)てば 根国(ねのくに)底国(そこのくに)に坐(ま)す速佐須良比咩(はやさすらひめ)と云(いふ)神(かみ) 持佐須良比(もちさすらひ)失(うしなひ)てむ 如此(かく)失(うしなひ)てば 今日(けふ)より始(はじめ)て罪(つみ)と云(いふ)罪(つみ)は不在(あらじ)と 祓賜(はらひたま)ひ清賜(きよめたまふ)事(こと)を天津神(あまつかみ)国津神(くにつかみ)八百万(やほよろづの)神等(かみたち)共(とも)に所聞食(きこしめせ)と申(まを)す
令和7年9月(神社庁・古今宗教研究所の資料参照)
