『まどろみの縄文の丘』No.2

台風の痕跡は、国道から少しく入った、細道の奥を上り詰めた、

丘に在る〈杉樹林‐百年の杜〉にも及んでいた。

一番長寿の蝦夷松(エゾマツ)が、真ん中辺から折れていた。

山蟻に食われた所から折れたわけでなく、

強引に捻(ひね)り千切ったような、ふぞろいの竹箒に似た傷口を晒(さら)している。

倒れた幹は折れた本幹(ほんかん)に、60度角に身を寄せているる。

地面に着いた幹の先から折れた頂上まで、中動物が登って行き、

排泄した痕跡が、未消化の笹の葉と一緒に座っていた。