『扉を開けて 開ける星』No.3

久しく閉じ込めていた、自身の心の扉を

そっと開けるかに、玄関の扉から出て行くと

石段の横に忘れ物であるかのよう

手動のゼンマイ式‐柱時計が、ひっそりと

立て掛けてあった——円形の時計盤がいくつか有り

日本列島‐時間と、地球‐各国世界時間と

重層する宇宙の、いくつかの宇宙時間を

ゼンマイ式‐振り子音が、刻んでいる

コチコチ・コチコチコチ・コチコチ……

地に伏して、微睡(まどろ)んでいた風が

むっくりと起き上がり、ぐるりひと巡り

辺りを見渡してから、飛び出した。

瞬き始めた、銀河の輝きで、

視えなくなっていた、新た世界への

始発駅‐星座〈開ける星!〉を目指して

コチコチ・コチコチコ・コチコチコチ……

無限数(あまた)〜生命・宇宙の発生の源

新誕生した《無源》に至る、光り道が

ひときわ輝きを増しているる、よ。