〈新世界への道〉➝酷暑に真冬の詩を! No.2

『寒〜暑 烈しき町で』 <2>  中島 稔

ヒトの記憶から、久しく説話(おはなし)からも、

消えていた〈雪ん子〉たちが、突然現われて、

小さなビルからビルへ、日がな工業団地の、

粘板岩(ねんばんがん)のスレート屋根の、大きな滑り台や、

山麓の別荘を移したかの、お伽噺(とぎばなし)ちっくな、

ログハウスや、枯れ芝になっていたその庭へ、

朝からメロンパン焼く、トンガリ帽子屋根の

ベーカリーに、雪橇(ゆきぞり)を駆(か)り、巡って行った。