北の地‐有珠山のカルデラ‐洞爺湖(キムントー)の、
空と樹々を映した澄んだ緑青色の湖水、
その沈黙が語り出すまで、「否(ノン)!」ヒソヒソと、
昔しむかしから、言の葉を紡いで来た神々の深甚の語り、
その無言を聞き取る為には、〈無心〉そのものに、
素潜りの極限の無呼吸の境地に身・心を添える。
湖面にふんわりと被せた、オブラードが破れぬよう、
そっと剥がして、できた隙間‐30度角の隙間に、
瞬速にいま以上〜波が立たぬよう、石を投げ入れたかに……
石は黙って真っすぐにではなく、ヒラヒラと水底に落ちて行く。
季節の終わりはたった一枚の、アジサイのカラフルな、
紅葉模様にやって来た秋でした。