『風はどこからきた』No.3

これ以上、無口となる心を傷つけない為に、

欲望が〈善〉をまとって迫って来た時、

沈黙か、「いいえ」の「ハイ」か、

選択肢は無きか……ひときわ、今年の短い秋に、

「風が落ちている!」雌雄‐別樹の、

生きている化石‐〈イチョウ樹〉の、

黄金色の鮮烈な絨毯(じゅうたん)の、落ち葉の上に。