『雪ゆき雪の美わしく降るるか』No.1

——行く年くる年(Año para ir año por venir)

中嶋 稔

ウイルス禍で難儀(なんぎ)している年の瀬を、追い風するかのよう

日本海側のクニグニに、北日本のバックボーン奥羽山脈の山々に

日の本に住む人々の過去世の秘密が、なおいまも

隠されているらし、蔵王連峰の山々には……

ここしばらくは冬に、スタッドレス不要だった

北の杜の都にも、近年まれのドカ雪が……

「峯の雪が裂け 雪がなだれる

そのなだれに 熊が乗つてゐる……〈*〉」

などとダイナミックに、安閑とした雪の風情などなく

微細に殺伐(さつばつ)とした、かなしびの雪の降るる

雪は水滴の結晶〜透明‐無色、光のあんばいで

真っ白く、はかなく錯視しているらし。