『日の本の四季‐変異』 No.1

 

東北‐奥羽は、杜(もり)の都の傍らの、

〈百年の杜〉で、朝方から霧雨が、

樹木の香りに、無音(むいん)に霞んでいた。

杉木立と竹林が、百年に渡って、

静かに、地の縄張り争いを続けてきたかに。

竹林が杉林を三分の一近く、

凌駕(りょうが)しかかった時節(とき)に、

竹は伐採されて、翌年からタケノコが、

地表に芽生えるのを辞めていた。