『マヤアステカの神話』<音楽の起源>
アイリーン・ニコルソン著/松田幸雄訳(引用)
目覚める暁に、
夢見る男に、
持っている母に、
流れる水と飛びゆく鳥に、
生きることはすべて音楽となれ!
では無限の悲しみを通り
青い煙と空間のあいだを高い太陽の家に行け。
そこに父なる太陽は、
やさしくフルートを奏でる
音楽の奏者に取り巻かれて、
燃える合唱隊の歌とともに
四方に光を撒き散らす。
連れて来い、大地に!!
最高の花開くものを―—
彼ら音楽の奏者と歌手たちの集団を」。
風は急に沈黙した大地を渡り
息せききって歩みを進め、
ついにすべての調べの光の巣に住むところ
天上世界の屋根にたちいたった。
太陽の音楽士たちは四色の衣装をつけている、
揺藍の歌を歌うものは白、
恋と戦いの叙事詩を語るものは赤、
空ゆく雲の吟遊詩人は群青、
世界の峰々から太陽に挽かれた
黄金の色を楽しむフルート奏者は黄であった。
そこには暗い色をした音楽士はいない。
彼らはみな透明に輝いて楽しげで
その眼差しは遠く彼方を望んでいる。