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古代〈弓〉は枝を払い、弾性ある細丸木に、
刺草(いらくさ)・麻の繊維を縒(よ)って弦を張り、矢をつがえて射(い)るる。
ケヤキの槻弓(つきゆみ)、ヤマグワの拓弓(つみゆみ)、
古代ー神世(かみよ)には、ハゼの木の櫨弓(はじゆみ)‐〈天之波士弓(あめのはじゆみ)〉を手に、
弓矢の〈天之眞鹿兒矢(あめのまかこや)〉を手挟(てばさ)みし、
他に荒ぶる武器を持した、太陽神アマテラス-軍が、
日の本‐豊葦原(とよあしはら)に天孫降臨して、平和に政(まつりごと)する、
水々しく稲穂たわわに稔る瑞穂(みずほ)の、オオクニヌシ神の出雲国を、
制圧・支配した、捏造(ねつぞう)の<出雲神話>のあり。
かつて印刷の版木にも使っていた梓木(あずさぎ)は、丸木ごと、
弓なり成した〈梓弓(アズサユミ)〉で、キリリと真斗(まと)を絞り‐射る。
梓弓の弦を弾(はじい)ては鳴らし、トランス状態の梓巫女(あずさみこ)に、
霊‐降ろししていたは、遠の昔し話しか。
真弓(まゆみ)曳く 秋紺碧や 標的(まと)矢羽
咲き競う 百花繚乱(りょうらん) 真弓木の実