『秘密の扉』(仮題)No.1

「始まりがあれば、終わりがある」

かつて人間ヒトがいた場所に、いつからか、

誰ひとりも見えなくなっていた。

人間のする仕事を機械が代行してる。

改札口でする乗車切符のカットも、

切符販売していた窓口にも、乗客の往来する、

駅空間にもうだれ一人の、駅員も見えなくなっていた。

あらゆるトラブル・事故を想起して、物理科学の、

精緻せいち・精密な粋すいを集めて開発された機械‐

切符販売機や改札口はミスなど犯さない。

過剰労働で消耗し、故障することはあるけれども。

「科学による高度な機械文明化で、ほんとうに、

この世の誰が恩恵を受け、利便になったの?」