新訂詩文『初音(はつね)ウグイス』No.2

昨年までの杉樹林での、

子ウグイスの発声練習は、ずっと、

「ホー ケキョ」

「ホー ケキョ」でした。

そして「ホー ホケキョ」に。

あと三日、梅雨が明けて今年もさらに、

異常な暑さの夏到来に、「ホー ホケホケ」が

ウグイス族のする「ホー ホケキョ」のさえずりの、

逸脱‐もどりから卒業できるかしらん。

「ホー ホケホケ」

「ホー ホケホケ」

年めぐり桜樹の新緑え立ち、梅雨惜しみ惜しむ、

天上〜天下、宇宙そらまでハレ上がってる。

素知らぬ振りで、長い列をなし暗雲〜流れ行き、

勢いたけるゲリラ雷雨に、今年から新たに参戦した、

線状降水帯の狂気の嵐、どなたが操縦しているる。

その息軒昂けんこうにして、地震に次ぐ被害は甚大、

世界の十大陸を集め縮小したかの、縮図〈❊〉日本列島で、

なに起きているる・・・・・・猛暑けした杉樹林で、

しばらくじっと、息を潜めていたかのウグイスが、

嵐の途切れ間に「ここに居るよっ」啼きはじめた。

「ホー ホケホケ」だったウグイスが成人して、

百年の杜に帰って来た、今いまに、なに起きているる。