『初音ウグイス』 中嶋 稔
東北‐奥羽の、杜の都の郊外の、
縄文山の《百年の杜》で、
杉樹林の中、杉樹の天井を、
突き抜けた蝦夷松が、みやび雄壮、
天空を支えているかに、凜と立っていた。
異常気象の星月夜に、
突風が吹き荒れ、荒れに荒れて、
太い幹の中途から折れて、
百余年の年輪‐刻みをやめていた。
「ホー ホケホケ」
「ホー ホケホケ」
「ホー ホケホケ」
近まで、少しく小さな声で、
「ホー ホケキョ」
同じウグイスかと思ったら、
「ホー ホケホケ」
親ウグイスの声もするる。
「ホー ホケキョ」