『滝・水 幻想』 No.2

白装束のリーダーの滝男人たきびとは、参加者に気合を投じる以外、

終始、無言・無心の息は白く、氷ることがない。

身体が下半身から小刻みに震え出し、手に到って、

静かに滝男人たきびとが瀑布から離れてゆく。

二十人余の若人の滝人は、焚き火を囲んでいた。

先に滝からあがっていた七十二才の滝嫗たきおみなが、

薪を積み火を起こしていて、自身は火に当たらずに、

離れて木製のベンチに座っていた。

身体からはほのぼのと湯気が立っているかに。

紫色の唇も小刻みに震えている。

子供の頃から滝嫗たきおみなは真冬の海でも、

ちかまの波打ち際の砂浜で水遊びし、冷たく服を濡らし、

遊んでいた……叱られても、叱られても。