白装束のリーダーの滝男人は、参加者に気合を投じる以外、
終始、無言・無心の息は白く、氷ることがない。
身体が下半身から小刻みに震え出し、手に到って、
静かに滝男人が瀑布から離れてゆく。
二十人余の若人の滝人は、焚き火を囲んでいた。
先に滝からあがっていた七十二才の滝嫗が、
薪を積み火を起こしていて、自身は火に当たらずに、
離れて木製のベンチに座っていた。
身体からはほのぼのと湯気が立っているかに。
紫色の唇も小刻みに震えている。
子供の頃から滝嫗は真冬の海でも、
ちかまの波打ち際の砂浜で水遊びし、冷たく服を濡らし、
遊んでいた……叱られても、叱られても。