一陣の竜巻きが、公園を駆け抜けて行き、
落ち葉たちが、くるくると舞い舞い放下(ほうげ)してる。
「失ったモノの数量(かず)より、その質の深さをはかれよ!」
ひっそりと孤高然と立つ、青銅(ブロンズ)製の、
ケツァルコワテル神像〈*〉が、独り言したかのよう。
ネット上では「カッパ少年!」とも呼ばれていた。
「偶像崇拝など……ここにわたくしが、居おるわけもない」
良く視ると、錆び付いたしわがれ聲がしたご神像は、
端正な欧米人風‐顔(かんばせ)に……カッパの嘴(くちばし)に似た、
大きな轡(くつわ)をキツく、はめられているる。