〜今いまに! 『弓矢のように』

秋冷(び)えの、もみじ色の風を切って、

白い矢が走って行った……

行く先に、標的(マト)はなかった。

コスモスとススキが、風を揺らしている。

キッパリ! と、何のこだわりもなく、

日々のコト、矢羽(やばね)のように、

飛んでいけたら!

忘却してしまった過去……

昔むかし、何があったにしても、

弓矢の先に、過去・現在・未来があり、

標的(マト)のような、陽はまた昇るよ。

『まどろみの縄文の丘』No.2

台風の痕跡は、国道から少しく入った、細道の奥を上り詰めた、

丘に在る〈杉樹林‐百年の杜〉にも及んでいた。

一番長寿の蝦夷松(エゾマツ)が、真ん中辺から折れていた。

山蟻に食われた所から折れたわけでなく、

強引に捻(ひね)り千切ったような、ふぞろいの竹箒に似た傷口を晒(さら)している。

倒れた幹は折れた本幹(ほんかん)に、60度角に身を寄せているる。

地面に着いた幹の先から折れた頂上まで、中動物が登って行き、

排泄した痕跡が、未消化の笹の葉と一緒に座っていた。

『まどろみの縄文の丘』No.1

ひときわ数珠黒(ずずぐろ)い闇が、降りていた真夜中に、

「超大型台風21号」が、震災の傷‐癒(い)えやらぬ、

東北の地を烈しく、揺さぶりながら通過して行った。

こつぜんと進路を直角に曲げ、日本列島を南の端から北の大地へと、

縦断して行った暴風雨は、荒ぶるカミの爪痕を各所に烙印ブランドして……。

カミは人間と同じように、善神と悪神がおり、

欲望‐〈魔〉的な働きを司る両神を越えた、正神かみのあまたいるる。

昔むかし大昔! 生命‐宇宙の原始(はじめ)に起きた、

自然な生命進化‐過程は、「神が人間を創ったのではなく、

人間が進化して神となった!」との理解が、自然の摂理(providence)となるらし。

『開かずの館』 No.4

ジーッと凝視しても、視えはしない、

「開かずの青い館」を管理する、精妙・精巧な、

新発明の科学‐量子コンピューター・システムは、

幻覚・妄想・錯覚を、光景ビジョン化する〈脳内改造・改変!〉機の成せる技か。

超-科学進化を遂げても、量子コンピューターは計算機!?

〈0と1〉・〈オンとオフ〉の、無際限の組み合わせシステム、

〈記憶・記録〉のデーター・チップで、過去と未来、

予言・規定して、人類ヒトの〈運命〉を支配するる。

繰り返す〈有(1)と無(0)〉に、微小‐ミクロな間隙のあり。

ロボットの人工知能・AI( artificial intelligence)が、

更に進化して人間化して、人間がサーボーグ化して、

やがてサイボーグ・A Iが人類を支配する時がくるる?

は、SF映画のイメージ・物語などではない……

 

『開かずの館』 No.3

——何処より、やって来たのか人類(mankind )

 

窓の外は、「豪雨‐注意報!」が発令され、

ドシャ・バシャと雨、降り落ちているのに、

建物の中では、ドイツ製のアンティークな柱時計が、

昨日とそっくり同じ、「チク・タク・チク・タク」

豪雨の音を断つかに、静寂の時を刻んでいる。

西欧の片田舎の教会で、時刻(とき)を告げる晩鐘の音が、

鳴り響くかに、振り子がプラチナ色の時を打つ。

何故に玄関が出入り口であることを、辞めてしまったのか、

誰も知らない……ぐるり近在では、「開かずの青い館」とも呼ばれてた。

エメラルド色の、玉葱(たまねぎ)のような尖塔(せんとう)屋根が幾つもある、

ゴシック調-教会と、アラベスクなモスク調-建築物を、

合わせたかの建物……一度中に入ったなら、二度ともう、

外には出ては行けない、「否(ノン)!」あえて、

「外に出て行きたくない……」想念(おもい)するる。

『開かずの館』No.2

物語りするように、そっと玄関の扉を開けて、

外に出ようと、足を踏み出したものの、

庭の風景がかい間、見えたのに、

身体は閉じた扉の、こちら側に、

戻って来てしまっている……近しい、訪問客も、

玄関に立ち扉を開けて、広間に入って行こうと、

一歩(いちほ)踏み出したものの、一瞬でもとの位置に、

戻ってしまい、家の中に入って行くことが叶わない。

どうしてか、玄関の出入り口がその役目を辞めてしまい、

建物に出入りできなくなってしまっている。

「いつ頃からだったのだろうか、それは?」

家全体がモヤ・カスミの糸で、厚く織り込まれ、

繭(まゆ)のように包み込まれて、閉じ籠こもってしまっていた……。

『開かずの館』 No.1

——何処(いずこ)に行こうとしてる、ヒト種族‐人類!

 

玄関の扉と、心の扉の開閉の様(さま)‐模様は、

そっくり、似ていないだろうか。

扉はこちら側の、閉じた空間を、

外に解き放つ為に……あるいは、扉は、

あちら側の広大な、外-空間を閉ざして、

こちらと間仕切る為に、開〜閉するならい。

心の扉も、好き・嫌い、良い・悪いで、

他者・他世界に、開いたり‐閉じたりするる。

 

 

『無言の言の葉』 No.2

北の地‐有珠山のカルデラ‐洞爺湖(キムントー)の、

空と樹々を映した澄んだ緑青色の湖水、

その沈黙が語り出すまで、「否(ノン)!」ヒソヒソと、

昔しむかしから、言の葉を紡いで来た神々の深甚の語り、

その無言を聞き取る為には、〈無心〉そのものに、

素潜りの極限の無呼吸の境地に身・心を添える。

湖面にふんわりと被せた、オブラードが破れぬよう、

そっと剥がして、できた隙間‐30度角の隙間に、

瞬速にいま以上〜波が立たぬよう、石を投げ入れたかに……

石は黙って真っすぐにではなく、ヒラヒラと水底に落ちて行く。

季節の終わりはたった一枚の、アジサイのカラフルな、

紅葉模様にやって来た秋でした。

『無言の言の葉』 No.1

無言はとても饒舌(おしゃべり)です!」

言の葉の沈黙に心の耳を傾けて、それを聴き取ることができれば、

言葉以上に深く、多様・多彩に語っていますよ、無言は。

特別に過去より秘されて来た、語ってはならぬこと、

封印されてしまった出来事など……無言の静寂が、

深ければふかいほど〈真実!〉への錘鉛(すいえん)を、

〈素潜りフリーダイビング〉の縄を泡だてぬよう、手繰り寄せ真下に下へと、

無呼吸・無心で潜水して行く……雑念・妄想は酸素を浪費するる。

清澄にハレた意識を、縦横無尽に張り巡らせて行く。

『今に生きて居ますか』——カレーの処方箋(レシピ) No11

土を盛り丘に造成した居住区は、大小の〈浮島(ロマ)〉最長600㍍程の、森の島を造形している。

ロマの住居地同士を結ぶ〈道路(テラプレン)〉‐

公共施設(インフラ)として整備され、各ロマに向かって一直線に、

幅広の土手状の道が延びて、通交〜交流していた。

ロマの丘には一家族から数家族が住み、洪水時には、

動物も避難して共生し、道路の横すぐ隣には、、

運河が乾季‐用水として並走している。

大規模な農業革新‐〈農業文化!〉が開花していた。

その技術は何処からやってきたのか。

人口島(ロマ)の墓所からは、2㍍以上の身長の、

巨人族〈*〉の男女の遺骨が、何体も発見されている。

 

〈*〉註=モホス大平原(五百㎞四方に及ぶ)には、人口島‐ロマ(最大長さ600㍍、幅450㍍)が大小2万個以上あり、総延長5千㎞のテラプレン(土手状‐道路)で交通している。

〈*〉註=ロマの巨人族は、中国東北部‐山東省の巨人のDNAと一致していて、山東省出身の盤古教‐孔子も巨人だった由。