『わたくしと影』No.1

 

何気なく私が立ち止まった時、

私の影は、立ち止まらなかった。

転んで私が這(は)いつくばった時、

陰影(かげ)は立ち止まらず、

今度こそわたくしを置いて、

どこかに行ってしまった……か。

不在となった影の呟(つぶや)きか、

「一度だってあなたは、

立ち止まって、わたくしのコト、

理解しようとはしてこなかった。

いつでも、あなたと一緒にここに、

存在(あり)て、在ることを……」