ずっと乾燥していた道が、私あるいは、
わたくし達の影を濡らしていた。
にわか雨が通り過ぎた午後に、彼方、
宇宙の果てまで空が、ハレ渡っていても、
私の本当の影(カゲ)が、不在だったならば、
赤日(せきじつ)の日には、外出することはできないのか。
世界には地上に真っ直ぐに、立った人や物に、
年に二回ほど、影ができない地域があるらし。
誰にでも在る、何処にでもできる影、
私固有の内なる魂魄(カゲ)は、いまだ目醒めていないの、
生命(イノチ)本体の《魂(ミタマ)!》は、いく枚もの不正序(ふせいじょ)な、
殻を被せられて昏睡しているる。
「そろそろその深い惰眠(だみん)より、おめざの帰還を!」