『わたくしと影』No.2

 

ずっと乾燥していた道が、私あるいは、

わたくし達の影を濡らしていた。

にわか雨が通り過ぎた午後に、彼方、

宇宙の果てまで空が、ハレ渡っていても、

私の本当の影(カゲ)が、不在だったならば、

赤日(せきじつ)の日には、外出することはできないのか。

世界には地上に真っ直ぐに、立った人や物に、

年に二回ほど、影ができない地域があるらし。

誰にでも在る、何処にでもできる影、

私固有の内なる魂魄(カゲ)は、いまだ目醒めていないの、

生命(イノチ)本体の《魂(ミタマ)!》は、いく枚もの不正序(ふせいじょ)な、

殻を被せられて昏睡しているる。

「そろそろその深い惰眠(だみん)より、おめざの帰還を!」