枝葉ひと葉も残さずに〈自然〉を清掃した、
石造のスクエアーに、機械科学の粋すいを集めて、
超高層建築‐樹が林立し、都市の喧騒(けんそう)を飲み込むかに、
ビルの山陵が新たな、空っ風を生み容赦なく、
吹き降ろして来る……ひと知れず、襟を立てる。
建物には外に身を乗り出して観る、窓がない。
秘境を失って久しい奥山では、やがて巨大な石の壁に、
堰き止められる渓流が、岩〜岩を流れ打つ、
その烈しい音叉(おんさ)もすべて、皆〜みんな飲み込むかに、
シンシンと、記録的な雪が降り継いでいる。
身を投げる! 渓流沿いの露天風呂から、
身の丈に積もった、鳥の羽毛を重ねた雪布団に。