『闇の底いに向かって』No.2

 

降り注ぐ雨は山肌を縫う細流となり、

渓流をなし、束ねた水流が烈しく落ちてゆく、

深いふかい谷底に向かって、滝の飛沫が、

無心の舞い舞い放下(ほうげ)してる。

重いおもい肥満の心が削がれながら、

墜ちてゆく、落ちて行き、ゆるやかに降りてゆく、

黒闇の底無しに向かって。

気の遠くなる程、時が流浪した闇を穿(うが)ち、

やがて……何処からともなく、

ほのぼのと灯が湧いて来て、ほのめいているる。

やがて谷間(たにあい)の滝の音が、鮮やかに朝色に染まってく。

山頂への上昇志向ばかりでなく、時に降りて行く、

あれやこれ過去がいっぱい詰まった、闇の底いに向かって。