竹竹竹、竹竹の古路こみちを行く、
はるか久遠の過去から、吹き渡ってきた風とともに。
辛苦(しんく)・辛酸(しんさん)の惨劇に満ち満ちた、この生命‐世界を、
凝視して吹き継いで来た〈風の神〉イブキヒコ神・
イブキヒメ神たちの息吹イブく働きは、清浄きよめ・浄化そのもの、
無辺数あまたの竹の葉ずれが、それを吹奏(すいそう)しているる。
サワサワ・サワワ・サワサワ・サワワ、
サワサワサワ・サワワ・サワサワ、
サワワ・サワサワ・サワサワサワワ……
時に寂さび・侘わびびの竹花瓶となり、茶室に端座(たんざ)してる、
寒風と直射日光で、赤く染まる女竹(めだけ)は「幸運を運ぶ竹」とも。
竹の地下茎はひとつで、豊穣な竹林を造形する。
淡竹はちく・苦竹はおよそ百二十年、孟宗竹は六十年余周期で、
絹糸の先に米粒を付けたかの、稲の花に似た白い花が咲き、
観音竹の花はシンプルに、海に咲くサンゴ‐ピンクのよう。
竹林では小さな種子を結び、やがてその実は、
滋養豊かな地に落ちて、新た世代交代のイノチを渡す。
役割を終えた竹林は、ハレやかに枯れ野となるか。
百年を生きた竹の精霊は、つぎは何に生まれ変わる、
「しなやかに、たおやかに、のびやかに!」
〜つづく〜