中島 稔
蔵王の神々の連嶺に、青い蒼空映する<樹氷>の、
白い真っ白い、植生の群落像アートがまぶしい。
病み疲れた世界が、雪害と裏表であったとしても、
雪景色によって癒されることもある。
アオモリ‐アオトドマツ・アカトドマツ達の、樹幹や枝々に、
絹布を幾重にも被せ凍らせた、歴史上の人物の胸像や立像が、
秦の始皇帝陵の兵馬俑坑のような陶器像も、斜面に林立している。
風にはためく旗の形のままに凍りつき、刻々と変化・変貌してゆく、
樹氷は零下5度C以下で、氷雪アートとなる。
風の神の、時に烈しく&〜優しく伊吹いて、水と雪を織り交ぜて、
アートする<樹氷彫像!>の大展覧会場は、世界でも超レア現象かな。
ヒトの<喜怒哀楽>の総て真白く染め抜いた山嶺、その夢想よ、
目覚めることなく、しばし、鬼畜‐異形に変化変移してゆく、
パンデミック感染症の惨劇の世を、たおやかに鮮烈に、
白絹雪に染めてあれ……時節がめぐり、雪溶け始めた頃、
蔵王エコーラインには、九㍍余の雪壁が聳そびえ建ち、
雪の下には、厳冬の凍てつく寒冷から守られた、
高山植物達がヒト知れず住まいして居、いっせいに氷雪地を破り、
鮮緑の葉をひろげる——白とピンクの薄化粧した、一人花の駒草の群生、
池塘ちとうの畔で黄金色に輝いて咲く金光花の群落、あでやかに、
草ではなく地を這うよう生える、低木の伊吹麝香草は、
ピンク紫に風を染めて、爽やかに蔵王連嶺を芳香するる。