『沈黙 風立ちぬ』No.2

「Biビ silentサイレント」 しずかに。

 

地球の極北・極南の地の大気を、

青・緑、時に赤色に発光するオーロラが、

北海道や東北、能登半島・関東などにも、

日本列島の各地で観測(<※>)されていた。

太陽爆発フレアが起き、磁気嵐が地球を席巻(せっけん)してる。

自然災害・異常気候……歪んで常軌を逸した、

物理・科学が破壊し、機械・科学化した自然は、

なお、有機的に連関している生命宇宙(せかい)……

その中心には太陽がいるるも、もう限界、

太陽初めて以来最大の、フレア起こして、

大自然の病態・病弊から、脱皮・躍動しようとて、

もがき発光していないか。

『沈黙 風立ちぬ』No.1

『沈黙 風立ちぬ』  中嶋 稔

一陣の風が吹いてきた「風立ちぬ!」

汗ばんだ頬を、優しく撫(な)でて行くように。

閉じることに慣れた、鼻腔(びくう)を少し開ければ、

ほんのりと甘酸っぱく、すえた匂いがするる、

それと知られぬように、匂いの元を尋ねると、

過去からではなく、未来からやって来たかの、

疲労困憊(こんぱい)した風神の吐息だったか、それは。

カムフラージュされた、甘酢の腐れ、

生命の新たな働きが混じっているかに。

『短詩集』No.2

   ❊  ❊

「消去しますか」

下になっていた原稿の、ワードに設定されていた、

消去ボタンを、「押してはダメ!」なのに、

なぜか復元できないのに、押して、

完成詩文を抹消してしまった。

この「短詩集」を作る、きっかけとなったポエムだった。

とても気に入った、「よくできていた!」

記憶からその内容、みごと情景も何も無しに、

消去してしまっている、自分の中のもう一人、

成りすましの機械的な私が、その犯人、

過去もっと長文も……何度も懲(こ)りずに消していた。

『短詩集』No.1

❊  ❊

どなたが雪雲をちぎっている、

繊細の手指で……この世の存りて在りる音・

喧騒けんそうをシンシンと、吸収しているかに白樺樹林に、

白雪の舞い舞い放下(ほうげ)するる。

傷つけた白樺の幹からは樹液が、

凍らずに受容器に、滴したたり落ちてる。

サプリで飲んだ、ほんのり甘い白樺樹液、

体液に混じって、副腎(Adrenal gland)の、

抗菌力・免疫力を助成するかに、

ヒトの身体をくまなく巡って行くよ。

白樺には、北の白雪が良く似合う。

『闇の底いに向かって』No.2

 

降り注ぐ雨は山肌を縫う細流となり、

渓流をなし、束ねた水流が烈しく落ちてゆく、

深いふかい谷底に向かって、滝の飛沫が、

無心の舞い舞い放下(ほうげ)してる。

重いおもい肥満の心が削がれながら、

墜ちてゆく、落ちて行き、ゆるやかに降りてゆく、

黒闇の底無しに向かって。

気の遠くなる程、時が流浪した闇を穿(うが)ち、

やがて……何処からともなく、

ほのぼのと灯が湧いて来て、ほのめいているる。

やがて谷間(たにあい)の滝の音が、鮮やかに朝色に染まってく。

山頂への上昇志向ばかりでなく、時に降りて行く、

あれやこれ過去がいっぱい詰まった、闇の底いに向かって。

『闇の底いに向かって』No.1

『闇の底いに向かって』  中嶋 稔

人生を山に例えて、

ひたすらに、頂上目指して登ることに、

倦(う)みあぐねた心よ……立ち止まり、

汗ばんだ頬を撫でてゆく、

山あいを渡る風の音を聴き、

ブナ、ナラ樹の葉ずれに耳を寄せる。

アマツバメ、イワヒバリ、頭部がオレンジ色のコマドリ、

ブルーな羽のルリビタキ達のヒソヒソ声や、

小ぶりの角のニホンカモシカや、ヤマネ、

可憐な貂(テ)ン顔に似て、岩をつかむ獰猛(どうもうな)手爪のオコジョの、

山岳を駆け抜けた息のするる。

上ばかり見ていた重いまなこを下に落とす、

微かに水の音が、谷のそこはかとない匂いが届いて来ないか。

新訂詩文『初音(はつね)ウグイス』No.4

「変異ウグイス? 新種ネオウグイス!」

「ホー ホケホケ」の子ウグイスを卒業して、

「ホーホケキョー」ではなく、ほこらかに威厳を持って、

「ホー ホケ ケキョー」

「ホー ホケ ケキョー」

「ホー ホケ ケキョー」

〈❊〉註=

新訂詩文『初音(はつね)ウグイス』No.3

「よーく観て、視てみてごらん!」

人間イノチの本体《魂(ミタマ)》は、卵のように本体を守るかに、

幾重にも殻を、異次元に繋がる表現体〈❊〉をまとってる。

私のワタシの、わたくし自身は……

いずこより来たりて、何処いずこへと向かう。

「だれも知ろうとしないの、ほんとのこと」

青く清楚だった地球が、グローバルに、

半透明なダーク・グレイに変色していないか。

異常気象‐温暖化、米国カリフォルニア州の、

デスバレー公園では、日中気温が約五十四度越えし、

真夜中は五十度余の熱帯夜となり、

もはや止めようもないのか地球の温暖化・砂漠化・・・・・・

変異・異変のパレードの開幕するるか。

第三次デジタル〈産業革命〉の、専制・独占化が進み、

機械科学‐幻想企業や、戦争兵器産業は、

この世の春を謳歌するかの、好景気かな。

新訂詩文『初音(はつね)ウグイス』No.2

昨年までの杉樹林での、

子ウグイスの発声練習は、ずっと、

「ホー ケキョ」

「ホー ケキョ」でした。

そして「ホー ホケキョ」に。

あと三日、梅雨が明けて今年もさらに、

異常な暑さの夏到来に、「ホー ホケホケ」が

ウグイス族のする「ホー ホケキョ」のさえずりの、

逸脱‐もどりから卒業できるかしらん。

「ホー ホケホケ」

「ホー ホケホケ」

年めぐり桜樹の新緑え立ち、梅雨惜しみ惜しむ、

天上〜天下、宇宙そらまでハレ上がってる。

素知らぬ振りで、長い列をなし暗雲〜流れ行き、

勢いたけるゲリラ雷雨に、今年から新たに参戦した、

線状降水帯の狂気の嵐、どなたが操縦しているる。

その息軒昂けんこうにして、地震に次ぐ被害は甚大、

世界の十大陸を集め縮小したかの、縮図〈❊〉日本列島で、

なに起きているる・・・・・・猛暑けした杉樹林で、

しばらくじっと、息を潜めていたかのウグイスが、

嵐の途切れ間に「ここに居るよっ」啼きはじめた。

「ホー ホケホケ」だったウグイスが成人して、

百年の杜に帰って来た、今いまに、なに起きているる。