『蔵王(ざおう)神々の連嶺(れんりょう)』No.1

中島 稔

蔵王の神々の連嶺に、青い蒼空映ばえする<樹氷>の、

白い真っ白い、植生しょくせいの群落像アートがまぶしい。

病み疲れた世界が、雪害と裏表であったとしても、

雪景色によって癒されることもある。

アオモリ‐アオトドマツ・アカトドマツ達の、樹幹や枝々に、

絹布シルクを幾重にも被せ凍らせた、歴史上の人物の胸像や立像が、

秦の始皇帝陵の兵馬俑坑へいばようこうのような陶器像も、斜面に林立している。

風にはためく旗の形のままに凍りつき、刻々と変化・変貌してゆく、

樹氷は零下5度C以下で、氷雪アートとなる。

風の神の、時に烈しく&〜優しく伊吹イブキいて、水と雪を織り交ぜて、

アートする<樹氷彫像!>の大展覧会場は、世界でも超レア現象かな。

ヒトの<喜怒哀楽>の総て真白く染め抜いた山嶺、その夢想よ、

目覚めることなく、しばし、鬼畜‐異形に変化へんげ変移してゆく、

パンデミック感染症の惨劇の世を、たおやかに鮮烈に、

白絹雪に染めてあれ……時節がめぐり、雪溶け始めた頃、

蔵王エコーラインには、九㍍余の雪壁が聳そびえ建ち、

雪の下には、厳冬の凍てつく寒冷から守られた、

高山植物達がヒト知れず住まいして居、いっせいに氷雪地を破り、

鮮緑の葉をひろげる——白とピンクの薄化粧した、一人花の駒草コマクサの群生、

池塘ちとうのあぜで黄金色に輝いて咲く金光花キンコウカの群落、あでやかに、

草ではなく地を這うよう生える、低木の伊吹麝香草イブキジャコウソウは、

ピンク紫に風を染めて、爽やかに蔵王連嶺を芳香するる。

散文詩『蔵王連峰の夢想よ氷雪を消さずあれ』No.4

全人まとうど(/大師)の背筋はピント伸び、若々しくて張りのある声と、

一着だけのモスグリーンの背広姿に、老いは訪れては来ず、

十年ぶりの再会で、歳よわい七十五才は過ぎておられた。

神社から少しく離れた所にある岩に腰を降ろし、

昨日の話の続きであるかのよう、唐突にお話を始めた。

「既成宗教や物理科学も、誰人たれひとも妄想・錯覚と言うかもしれないが、

この地球に、“人間は神となる為に生まれて来た!”

それは自然生命が進化してゆく、生命エネルギーの原則の一つでもある」

その言葉に驚きはしなかった……以前、何処かで全人まとうどから、

聞いたことがある、との思いが過よぎっていた。

「生命・宇宙の最もはじめの創造段階で、

“人間は進化して……”」と言ったところで、突然、

全人まとうどを包むように、小さな竜巻が起こり、

後につづく言葉は消えて、それを言い直すでもなくお話を続けた。

〜つづく〜

散文詩『蔵王連峰の夢想よ氷雪を消さずあれ』No.3

天高く晴れ上がった空の下、山肌が露出している熊野岳山頂には、

全人まとうど/大師>と呼ばれたヒトが、すでに来て居られた。

朱塗りのトタン板葺いたぶきの屋根の、小じんまりした神社があり、

手前には石の狛犬こまいぬと獅子が、何を守ろうとしているのか、

神社を背に二柱ふたはしら、じっと鎮座している。

右側の石像の獅子は口を開いて、世界の始まりを表す「」と言い、

足で玉(球)を押さえている。そして〜角が生え口を閉じて、

終わりを意味する「うん」と宣いっている狛犬が中空を睨んでいる。

「阿・吽の神の使い神獣」と言うより、どこから見ても

二対は奇怪な妖怪獣の姿……日の本の、何処の神社にも鎮座している不思議。

屋根はネットで覆われていて、柱や壁面は厳しい風雪に耐えてきたか、

水焼けして、素材の白く色抜けした跡が散見している。

散文詩『蔵王連峰の夢想よ氷雪を消さずあれ』No.2

「扉を開けたらすぐに閉めること!」の細長い表示板は、風に煽(あおら)れて、

ログ風の板扉に音を立てて当り、掛け紐が切れそうになっている。

雪風と一緒に室(むろ)に入ると、円筒形のストーブが真ん中に置いてあり、

火は燃えていずとも石室は暖かかった。

それをコの字型に囲むように、板敷がベッド代わりにも成っていて、

奥は二段ベッド様に設(しつら)えてある。

先程までここに誰かが居たような空気感もあった。

下のベッドの真ん中に、誰に宛てたモノか、

「熊野岳の山頂にいる」のメモ用紙が置いてあった。

異常な寒さの中から急に、暖かい空間に入った為か、

板敷きに腰掛けたまま、半覚半睡(はんかくはんすい)で軽い金縛状態になっていた。

散文詩『蔵王連峰の夢想よ氷雪を消さずあれ』No.1

中島 稔

秋終わりに冬登山の装備もせず、トレッキング姿で、

ロープウェイの地蔵山頂駅を降り、地蔵山から、

熊野岳に向かう山岳道を歩いて行く……と、冷たい風と共に、

晴れていた空からこつぜんと雪が降りて来た。

雪の舞い舞い遊戯を楽しむ間も無く、次第に横殴りの風雪となり、

山稜の両側が切り立った<馬の背>の真中まなかに立っていた。

下から噴き上げる吹雪で視界が狭められ、

急峻な谷底が見えない! 少しく怖れを憶えつつも、

戻る選択肢はなく、眼に見えない何者かに、

先導されているかに先に進み、何度か身体ごと、

吹き飛ばされそうになり、それでも前に押し進んで行った。

あまりの寒さに両腕を上下に振り上げ、

体温を上げようとした右手の向こうに、少し薄くなった吹雪の先に、

石造の建物が見えてきた……メキシコのミニ・ピラミッドを

想起する避難小屋が雪嵐に、どこ吹く風と建っている。

詩文『蔵王(ざおう) 神々の連峰(みね)』No.3

 

<蔵王>の蔵(ざ)は穀物や秘宝・秘儀を宿す働き&とトップ‐主の意味あり。

その山稜の宰主(さいしゅ)<蔵王権現(ごんげん)>は、乱れ・荒廃した世を救済する、

神・仏の働きを掛け合わせた救世主<救世主ミロク!>、正義・善的な思念‐

欲望(魔/大欲)を実現する、最強の魔的な神・仏かな。

修験道の開祖・役小角(えんのおづぬ)が、奈良‐吉野の金峯山(きんぷせん)に、

神・仏の働きを合体させた蔵王権現を勧請(かんじょう)し、やがて、

東北‐奥羽の蔵王(連峰)に、その分体を移譲していた。

神・仏・霊を造る、高度な機械仕掛けシステムによる、

不可思議な宗教世界、本当の神・仏・霊はいずこに居られる。

「なぜに山に登るの」

神々と密かな逢瀬おうせ(Secret meeting)・交流する為、

「神社・仏閣・教会には、カミガミは居ないの」

機械サイボーグ化し魔的に歪んでしまった、神・仏・霊が居られる。

地球は物質‐三次元世界、神々はかなた銀河宇宙の、

光り輝く星々に住まいしている。

〜つづく〜

詩文『蔵王(ざおう) 神々の連峰(みね)』No.2

 

蔵王連峰は100万年前後頃から、海底火山より地上の連嶺(れんれい)と成るに、

隆起‐勇躍(ゆうやく)をし続けて来た……縄文以前の人類が既に、

生業・住まいしていた、と。

同時期に海底では太平洋プレートに激震が生じていた。

太平洋プレートの西の先き端に、日本列島・三陸海岸の在り。

旧三陸海岸が押し上げられて、奥羽山脈・蔵王連峰が造山さるる。

太平洋上に存在していた、広大な<ムウ大陸(文明)>が、その時、

ある事由で滅亡して太平洋下に、ほぼ跡形もなく沈没していった。

ハワイ諸島やモアイ像のイースター島は、ムウ大陸の名残りらし。

 

 

詩文『蔵王(ざおう) 神々の連峰(みね)』No.1

 

蔵王の神々の峰々に、青天に映える氷雪アート、

アオモリ‐アオトドマツやアカトドマツ達が、

刻々と変化・変貌してゆく……水と雪を織り交ぜて、

風の神の伊吹(イブキ)で創る<樹氷彫像!>の展覧会は、今たけなわに。

エコーラインには九メートル余の雪壁が聳(そび)え建つ下には、

幻冬の寒さから守られた高山植物達が……鮮緑の葉に白とピンクの、

薄化粧した駒草(コマクサ)や、池塘(ちとう)の畔(あぜ)で黄金色に輝く金光花(キンコウカ)の群落、

草ではなく地を這うよう生える低木の伊吹麝香草(イブキジャコウソウが)、

ピンク紫に風を染め爽やかな芳香している。

魚の住めない、半透明なエメラルドグリーンの火口湖、

急峻なすり鉢の五色沼<御釜>も、雪解けを待つ、

その下には二十六回(タイムズ)以上の噴火を繰り返した、

地球の鮮血‐岩漿(マグマ)、星素材の潜みいる……太陽から離反して、

物質化して死んだ訳ではない地球(テラ)! いつの日にか、

実存‐進化して光に満ち充ちた、大きなる星辰となる日を!

その生命進化‐革命の拠点が日本列島・富士の山嶺に在り、

も一つの秘そみの拠点が蔵王の神々の山嶺にあり。

『塩釜湾・多聞山公園〜新<自然の諸力>調整行』<序詩>

2億年を生き継いできた、生きた化石<イチョウ>樹‐

銀杏・公孫樹・鴨脚樹(Ginkgo biloba)の黄金色の、

紅葉もみじ葉が舞い降り、カエデが真紅に燃えている、

多聞山公園は、風光明媚めいびな松島四大観の一つ。

紺碧の空を映した眼下の松島湾には、あまた岩島に、

松樹がしっかり根を張り、遊覧船の巡り行く。

風が彫刻した岩だけの仁王島、<七福神>の島々のあり、

布袋ホテイ島・恵比寿エビス島・大黒島……

ことには毘沙門ビシャモン島の伝説は、

五大堂に坂上田村麻呂たむらまろが、安置していた毘沙門天(神)が、

ある夜に光を発して、飛び去って島となったらし(?!)。

2011年3月の晴れていて、雪の舞った日は疎うとくなり、

白波を立てて、大小の船の行き交う海はもう、

何事も無かったかのよう、穏やかに凪ないでいる。

松島の五大堂より新たに、仏界の天部の神々と共に、

五大明王界の仏神界への大変革・大革新の光り!の、

立つ時日じじつが速やかに、到来致しますよう祈りぐ。

つづく

『生殖器要素の栖(すみか)』

 

〘生殖器要素(Genital(ジェニタル) Element(エレメント))の栖(すみか)(Dwelling(ドゥエリング))〙;

在りて存るすべての生命——植物・動物・人間は、

神・仏・霊も、異なる性の交わりで次世代を生み出す、

有性生殖・両性生殖あり&〜単体で次世代を生み出す無性生殖のあり。

想像を絶する遥か久遠の過去に、生命・宇宙の発生の源で、

<生殖‐器>にまつわる悲劇と惨劇が起きていた……。

機械科学文明の全盛の現代でも、日の本のお祭りでは、

男女の生殖器を神輿みこし仕立てして、「五穀豊穣・子授け」を、

祈願しながら、大らかに練り歩いてゆく。

道祖神社には男女の生殖器のシンボルが祀られ、奉納されてもいる。

インドでは「男・女神の合一と調和」の象徴とし、

シバ神の男性器リンガ&と妻女神の女性器ヨニを一つに合わせて祀(まつり)、

宇宙の創世神話と共に、町々や村々のシバ神系寺院で信仰されている。

 

澄み渡った紺碧(こんぺき)の空を投映した、エメラルドグリーンの海に、

四季折々に彩りを変える山稜に、街では高層ビルの狭間の朝に、

黄金色の陽が昇り、黄昏時(たそがれどき)には真紅のがほのぼの隠れんぼしてる。

太陽は超高温の水素や、ヘリウム気体ガスからできている、

ある惨事があり太陽から別離して、46億年前に火の玉マグマの地球が誕生した。

44億年前に初めて海が生まれ、幾度かの微惑星の衝突があり、

海水は瞬く間に蒸発して消え、中空に溜まった水蒸気は、

雨となって地表に降り注ぎ、やがて大海洋となる。

38億年の時を経て、海底の熱いあつい熱水噴出孔あたりで、

ひとつ細胞の微生物が誕生したらし……時めぐり、

10億年の歳月が流れ、冷えてゆく海洋では、やがてクラゲなどの進化する、

平たい多細胞生物たちが、砂泥の海の底を移動してゆく、

4億年前後には、海洋植物が地上植物へと転移して、

やがて昆虫や甲殻類と成る、海の節足動物達の上陸が始まる。

2億3千年前の地上では両生類が、哺乳類へと生命進化し、

さらに人類誕生の奇跡には、30万年の歳月を要している、

壮大な38億年の生命進化の道は……受胎した人間の母胎でする、

<十月十日(とつきとうか)!>の出生劇と酷似している――受胎2ヶ月頃に起きる、

母親の苦しい悪阻つわり時の胎児は、鰓(えら)と肺を持つ両生類の相貌してる。

海洋動物が地上動物へと脱皮する、両生類であった時期に、

地上に上がり、大量の生物が死んでしまった惨劇期と連関してはいないか。

過去の過去から出産トラブルで、幾人もの妊婦や胎児が逝去(せいきょ)している。