『雪ゆき雪の美わしく降るるか』No.1

——行く年くる年(Año para ir año por venir)

中嶋 稔

ウイルス禍で難儀(なんぎ)している年の瀬を、追い風するかのよう

日本海側のクニグニに、北日本のバックボーン奥羽山脈の山々に

日の本に住む人々の過去世の秘密が、なおいまも

隠されているらし、蔵王連峰の山々には……

ここしばらくは冬に、スタッドレス不要だった

北の杜の都にも、近年まれのドカ雪が……

「峯の雪が裂け 雪がなだれる

そのなだれに 熊が乗つてゐる……〈*〉」

などとダイナミックに、安閑とした雪の風情などなく

微細に殺伐(さつばつ)とした、かなしびの雪の降るる

雪は水滴の結晶〜透明‐無色、光のあんばいで

真っ白く、はかなく錯視しているらし。

『日暈(がさ)・月暈・心暈(がさ)』No.6

「雨降りお月さん 雲の蔭 
お馬にゆられて ぬれてゆく 」

――童謡(nursery/ナーサリー)は、山里から五つ山を越えた 

向こうの町に住む許婚者に嫁ぐ、雨情〈*註〉の姉のお噺はなし&と

2歳で亡くなった次女・恒子が、月に召されて

嫁ぐお説話はなしとも……今では、少女も結婚前の人も  

「雨降りお月さん」はもう歌わないよね

「日暈(がさ)・月暈・心暈(がさ)」〜裸のカラダには、機械の雨は

辛かろう、せめてもナチュレな暈(カラカサ)をさそう

ますます加速してゆく、量子コンピューター開発で

〈機械科学の現代文明!〉は、歯止めはもう計わない。

サイボーグ化して、傷ついてゆくナチュレ (natural)なヒトのこころ逹〜心的‐細胞の遺伝子ゲノムにも

その操作が深くふかく、及んでいるらし……

「シャラシャラ、シャンシャン、鈴付けた」〜鈴が鳴る!

眼には視えない〈ナノ‐ミクロ〉な、機械システムの

どしゃぶる雨には、竹籤ひごで組み、朱色の油紙を貼った

京和傘をそっと、かけて上げようか。

*〈註〉=「雨降りお月(さん)」野口雨情‐作詞

中山晋平‐作曲

逝去なされてあちらにおられる、野口雨情さんとは、

お話しして、歌詩「雨降りお月(さん)」ご使用の、

ご許可をいただきました。そして一緒に詩(うた)いました。

分けもなく、ともに涙雨を流しました、あしからず。

『日暈(がさ)・月暈・心暈(がさ)』No.5

「お袖でお顔を かくしてる 
  お袖はぬれても 乾ほしゃ乾く 」

〈自然(Nature)〉を、一眼レフ・カメラで

シャッターしたフイルムを、現像した風景が無機質で

機械的に視えるのは、錯覚(Illusion/イリュージョン)‐錯誤なの。

オランダ生まれ、ポスト印象派の画家〈ゴッホ〉が

絶賛して自身の画風に取り入れた、日の本は江戸の天才

浮世絵師〈葛飾北斎〉、彼の極めた動体視力で

描写した富嶽三十六景〈神奈川沖浪裏〉、富士の白波濤(なみ)

コピーしたかの相似(similarity)形‐模様かな

波の微小・微細な先き端は、超機械システムで

〈自然〉はミクロにあっても、一つとして類似形なし。

時節はめぐり——明日は冬時雨しぐれ、いっとき強い風も吹き

雨〜雨〜驟雨しゅうう〜降る——小夜(さよ)時雨・村時雨(しぐれ)・

夕時雨・涙時雨(しぐれ)の、氷雨の降るる

『日暈(がさ)・月暈・心暈(がさ)』No.4  

「いそがにゃお馬よ 夜が明けよ

手綱(たづな)の下から チョイと見た りゃ」 

実力極めた〈猛暑・酷暑の夏!〉が、ここ数年

日本列島を席巻し続けている……山里の家の庭や、

田んぼ・畦道・林道にも、キツネ・タヌキ・

リス・テンの小動物や、ホタル・トンボ・昆虫

アリ達の仕事する姿も、見えなくなり

転変同地の奇禍・危難が起きているるか。

自然大災害は〈機械・科学〉で、サイボーグ化されて

過酷に酷使システムナイズされてきた、自然(神)の

反動・反抗! とも〜〜異次元では

堕落して機械化したカミガミと、機械化した

人間科学者が共謀・共犯して、永遠〜久遠の

過去から〈生命・宇宙〉を、ハイテク‐機械

コンピューターで、絶対‐支配してきた、由——

わたくしたち生命は〈機械‐幻想〉を生きている!

よく良く〈自然〉を、凝視・観察した時 

デジカメで、フォト・フォーカス(焦点)した時に

ナニ ( ? _ ? ) 見えてる、写っているる。

『日暈(がさ)・月暈・心暈(がさ)』No.3

「シャラシャラ シャンシャン 鈴つけた 

お馬にゆられて ぬれてゆく 」

——有史はじまって以来の、猛暑かな! 

世界はまたたく間に変容・変貌してゆき

エベレストの永久‐氷結の、氷河も溶け出して

年経(へ)めくるごとに氷河は、20㍍後退して行き 

氷河湖が決壊寸前まで、成長しているらし。

世界中いたる所で、自然‐大災害が頻発してる。

2019年末、オーストラリアで森林大火災

2020年2月14日に鎮火する! も

コアラとカンガルーの国、10万平方㎞が焦土となり

10億匹以上〜100万種以上の、動物種が焼かれ

絶滅の危機に瀕している、植物・昆虫たち——

人災と言う偽‐科学者のあり……そ、自然大災害なり?

『日暈(がさ)・月暈・心暈(がさ)』No.2 

「一人で傘からかさ さしてゆく 

  傘ないときゃ 誰とゆく」

梅雨が明け始めて、どこまでも澄みきった 

夏の空、逢魔(おうまが)時の暮れなずみ、夜闇に沈み込む

かい間、十数分ほど〈薄暮(はくぼ)!〉と呼ぶ

夜空〜風景が明朗に、群青色に晴れ渡る。

カメラ・アイに、至福・奇跡の時のあるる。

次第に靄(もや)いていって、すっかりお天道様の影も

西方浄土に沈みおり、まん丸いオレンジ色の月が

シャンシャンしゃしゃり出て、雲〜流れ

月に暈(かさ)が掛かり、月暈(つきがさ)が告げるナチュレな

天気予報は外れることなし——明日は雨の降るる

酷暑を慰撫(いぶ)して、そぼ降る雨よ

都市‐砂漠に淚るい・涙・流滴(るてき)・・・黒珠(ぬばたま)の鴉なく

『日暈(がさ)・月暈・心暈(がさ)』No.1 

——童謡「雨降りお月(さん(*註))」との共作(コラボレーション)

               中嶋 稔

「雨降りお月さん 雲の蔭 (かげ )

  お嫁にゆくときゃ 誰とゆく」

わけもなく胸心(むね)が痛く、苦しいからと言って   

すっぽりと心を、覆い隠してしまうわけにも

ゆかぬので、虚心坦懐(きょしんたんかい)〈無心!〉を忘れた心には

せめてもそっと、雨傘を掛けて上げようか。

「雨〜雨〜降れ〜降れ、もっと!」とくべつに

理由(わけ)があるでも無し、不安・寂寥・虚無に

襲われるこころを、時々に洗い流そう……

日々刻々、眼に視えぬ異次元世界から降りしきる

ストレス原因の障り・汚れのアメには、せめても

竹籤(ひご)で組んだ油紙の雨傘を、そっとさして上げようか

『大雪山は・・・』 No.1

北海道大雪山系の旭岳、ロープウェイの終着駅〈姿見駅〉

火山‐旭岳の各所の噴火口から

いく筋もの白い硫黄煙が、立ち昇っているる

「池!」と見間違(みまが)う、青い・碧(あお)い空が映じた池に

水が溜まっているかのよう、観る角度で

万年雪が水溜りに視える。「侵入禁止」の

柵越しに潜む、3万年前の氷河期の記録!

ぐるりにはあまたの、高山植物が生息しているる。

白い花弁の真ん中に黄色の花芯(かしん)、咲くチングルマの群落

残雪の雪渓がまぶしい……赤い萼(がく)に、淡いピンク色の

エゾノツガザクラ、葉は栂(つが)の木の針葉に似て。

『扉を開けて 開ける星』No.3

久しく閉じ込めていた、自身の心の扉を

そっと開けるかに、玄関の扉から出て行くと

石段の横に忘れ物であるかのよう

手動のゼンマイ式‐柱時計が、ひっそりと

立て掛けてあった——円形の時計盤がいくつか有り

日本列島‐時間と、地球‐各国世界時間と

重層する宇宙の、いくつかの宇宙時間を

ゼンマイ式‐振り子音が、刻んでいる

コチコチ・コチコチコチ・コチコチ……

地に伏して、微睡(まどろ)んでいた風が

むっくりと起き上がり、ぐるりひと巡り

辺りを見渡してから、飛び出した。

瞬き始めた、銀河の輝きで、

視えなくなっていた、新た世界への

始発駅‐星座〈開ける星!〉を目指して

コチコチ・コチコチコ・コチコチコチ……

無限数(あまた)〜生命・宇宙の発生の源

新誕生した《無源》に至る、光り道が

ひときわ輝きを増しているる、よ。

『扉を開けて 開ける星』No.2

その星のゲイトを抜けて、無心な光速となって

何処までもどこまでも、滑空(かっくう)して行ったならば

無辺・無究の果てにあると言う

〈生命・宇宙〉の発生の源泉(みなもと)

不条理の事由〈*〉で消滅してしまった

理想郷(エルドラド/El Dorado)な、《新生‐無源!》に

いつの日にか、到達できるかしら

コツコツ・コツコツコツ・コツコツ……

——地球では、狂気・狂乱! 低温・高湿の

自然災害のニュースが時々に、奔出(ほんしゅつ)してる。

超機械-量子コンピューターの開発・作動による

自然破壊・支配がさらに加速して……

〈自然〉から反発・反乱が起きているる。